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LE FEU FOLLET  1963年

[監督] ルイ・マル
[出演] モーリス・ロネベルナール・ノエルジャンヌ・モロー


人生は僕の中で、あまり早く過ぎていかない。
だから速度を早めよう。
明日、僕は自殺する

ヌーベルバーグ、Nouvelle Vague、新しい波。
ストーリーに拘らず、監督の主体性に重きをおいた作品が流行り、大抵は自己と他者のディスコミュニケーションがテーマとされる。その中でも、大人と子供、この対比が現代人においても普遍に好まれているようだ。
そして映画自体はとても無機質で、20代若者達(無駄に時間がある世代)が虜になってしまうのです。

人生の虚無の中にある男が、7月23日に自殺を決行する。
それまでの48時間を描いた作品だが、これといった大きな事件もきっかけもない。
芥川龍之介の「或るぼんやりとした不安」のようにインテリが持つ不安でもなく、ただ社会性になじめない普通の男。
自分はただ待つだけの存在。
自殺でさえも、その決めた日が来るのを待つだけの男。
しかし、待つだけでは引き金は引けないから、昔の友人にあってみたり、自殺の記事を部屋に貼ってみたり、『華麗なるギャッツビー」を朗読してみたり。

答えの無い葛藤を人間は皆抱えていて、それを単に描写しただけのストーリーの無い映画。
しかしこんな映画が、鬱陶しいくらいのストーリーだらけの現代の映画社会には必要なのではないか。

☆☆☆☆





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Le Gamin au velo  2011年

[監督] ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ
[出演] セシル・ドゥ・フランス、トマス・ドレ、ジェレミー・レニエ

施設から抜け出そうとする少年シリル。父親の居場所がわからなくなり、大事にしていた自転車を探すも見つからない。
感情のままに暴れるシリルとそれを制する施設の大人達、ヒリヒリと緊迫した場面からこの映画は始まります。

セシル・ドゥ・フランスはひょんな偶然から、週末だけの里親になります。彼女についての背景の描写はほとんどありません。かといってこの映画では彼女の慈悲深い行動が不自然に映るわけではなく、「すべきだからする」といったどこから湧き出したかわからない強い意志が、自然と観客にも伝わってくるのですから不思議。これが監督の技なのでしょう。テーマはそこではない。少年の心の方なのです。

親から見離され、愛情が欠如した環境で育った子供は、ふとした簡単な出来事から悪い方向へ道を踏み外します。悪の道へ行ってしまう理由は、それも愛情が原因で、たとえ利用しようというたくらみがあると分かっていても、愛情と居場所を欲している子供にとっては、悪とか善とかは関係ないのでしょう。
この映画はこうなってほしいといった御伽噺です。悪い状況に囲まれても、この子はきっと当たり前の幸せを感じることが出来る子供になっていくであろう、右肩上がりの寸前で映画は終わります。


あと、これだけは言いたい!
少年が町を自転車で一人疾走するシーンと音楽のマッチが素晴らしい!心の奥の手が届かない部分がキュッと小さく優しく掴まれるよう。
そしてセシル・ドゥ・フランスと自転車を並べて駆け巡り、自然の中でサンドウィッチを食べるシーンが永遠と続いて欲しいと思うくらい、あれは名シーンです!



☆☆☆☆

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LA GLOIRE DE MON PERE 1990年

[監督] イヴ・ロベール
[出演] フィリップ・コーベール、ナタリー・ルーセル、ジュリアン・シアマーカ、ジョリ・モリナス

舞台は二十世紀初頭のフランス。マルセルが9歳の夏休み、プロヴァンスで過ごした数週間を描いた物語です。
そして、フランス語のタイトル「父の栄光」から見て分かるように、マルセルからみた父親の存在に焦点が当てられ、それと同時にマルセルの成長過程が見て取れる映画です。

子供から見た大人とはこんな感じだったなぁ。
父親はどの大人よりも立派で、母親はいつまでだっても少女の気分で。
そして、いつしか大人の嘘や、父親への失望を知ることで、一歩一歩子供から大人へ成長していくプロセスとなる。

これを観た人は小学校の夏休みを思い出すでしょう。
夏休みは永遠に続くもののように長く、毎日何をするか胸をワクワクしながら外に飛び出した日々。
もちろん永遠ではなく終わりが訪れ、蝉の声が秋の虫の音色に代わる頃、なんだか胸が苦しくて泣きたいような気持ちになる。

マルセル一家のような幸せで理想的な家族が失われつつある現代、愛情に満ち溢た家族のワンシーンを一緒に観るだけでこちらも幸福感に包まれていきます。
豪華な夕食ではないがお母さんが作ってくれた手作りのパイ、不便で何もないところだが自然に囲まれている家、いつも一緒に過ごすのは家族と一人の親友だけの世界。
贅沢ではないものを、憧れてしまうな。

☆☆☆☆




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Les petits mouchoirs  2010年



[監督] ギョーム・カネ
[出演] フランソワ・クリュゼ、マリオン・コティヤール、ブノワ・マジメル、ジル・ルルーシュ、ジャン・デュジャルダン、ロラン・ラフィット、ヴァレリー・ボネトン、パルカル・アルビロ、アンヌ・マリヴァン

ノリ的にはフランス版男女7人物語みたいな感じ。ただしちょっと中年の。
結構日本ではレビューでの評判が悪かったみたいだけれど、私的にはこういう感じ好きですし、いろんな複雑な感情が想像できてウルッときちゃった。

仲良しグループみんなでいつも夏のバカンスを過ごすのが恒例になっているのですが、直前に一人が交通事故で危篤状態。そこでバカンスに行くかどうかも迷っている中、結局2週間だけどいうことにして、一人以外を除いて行くことに。
例年どおりワインをのみまくりビーチで泳ぎまくりのバカンスを過ごしているのだけれど、どこか少しずつ咬み合っていない仲間たち。表面では明るくバカ騒ぎしていてもそれぞれに複雑な悩みが渦巻いており、観てる私たちにはどこか繋がりが感じないのです。

自由奔放な中年の集まりで、
元恋人が忘れられないのに身体だけの関係のお相手がたくさんいる女、
妻も子もいるのに、じつは長年友人であった男友達に恋心を感じ出してしまった男、
男友達に告白をされゲイの扱いに狼狽する男、
夫婦のセックスレスに不満を感じ夜中エロサイトを一人見ている寂しい女、
恋人が大事だと分かっているのに女遊びがやめられない男、
分かれた恋人からのメールにいちいち反応し一喜一憂している男、
神経衰弱なのかと思うくらいナーバスでいつも何かイラついている夫に辟易している女、
自分が危篤で命も危ういと自分で分かっていながらサービス精神で見舞い客を笑かす男、
・・・
本当にやっかいな問題は中年だからこそ起こる問題で、解決法もシンプルではなく、責任のとれる大人だからこそ、相手もそこまで深く干渉しない。がそれ故に、どこかで喜怒哀楽が爆発し、感情が抑えられなくなっていきなりドバット露呈する。

とにかく30歳以上の大人は観てください。
そして孤独を隠している人にも観て欲しい。





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MONSIEUR LAZHAR  2011年


[監督] フィリップ・ファラルドー
[出演] フェラグ、ソフィー・ネリッセ、エミリアン・ネロン


みんなの大好きだった先生が、教室で首を吊った。
それを目撃したのは生徒二人。少女アリスと少年シモン。

いつもの教室は壁の色を塗り替え、カウンセラーが度々来ることになったことは以外は、
変わらず授業がなされる。

新しい先生はラザール先生。アルジェリアから来た先生で、授業は古臭く見た目も野暮ったい。
書き取りはバルザックだし、机の向きは円ではなくきちんと黒板の方を向かせ、生徒を叱る時は頭を叩く。
ただ、生徒と真剣に向き合う姿勢は子供達には通じたのか絆が出来つつあり、特にアリスとシモンはこの新しい先生に強く興味を抱くようになる。

ラザール先生は死から目を背けることをしない。自ら命を絶ったとはいえ、世間の悪意から命を奪われたと言ってもいい。その死の理由を考えることが死んだ人を悼むことだとラザール先生は考えている。しかし生徒と死について話すのは学校や親が許さず、だんだんラザール先生の立場が危うくなっていく。

この舞台はカナダのモントリオール。カナダのフランス語圏にあるモントリオールは生活水準が高く、教育熱心な家庭が多いらしい。

日本もこんな雰囲気になりつつある。叱って先生が生徒に手を上げるのは禁止、登校時は先生が生徒を出迎えに行く。生徒にハグするのも握手するのも禁止。
親たちも先生は勉強だけを教えておけばよく、しつけや態度については口出しして欲しくないとのこと。「子供はまるで放射性廃棄物を扱うかのように扱わねばならない」、確かに。

そうはいっても、子供たちはいつの時代でも、先生に求めているのは「愛情」なんです。
我関せずの態度は、子供たちをいたく傷つける。
「大好きだった先生が自殺したのに、なぜ誰も説明してくれないの。つらい気持ちをなぜ聞いてくれないの。」
そうだよねー、大人の考える論理は子供にとっての理不尽だよ。

そして子供のためといいながら、結局はワケのわからないルールなんかを持ち出して間逆の処置を為すというのが、大人であり社会なんだ。

☆☆☆☆



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L'Été meurtrier 1983年

[監督] ジャン・ベッケル
[出演] イザベル・アジャーニ、フランソワ・クリュゼ、ヴィジニー・ヴィニョン、アラン・スーション他

イザベル・アジャーニのはまり役はこれでしょう。勝手なイメージだけど、彼女が女優になっていなかったら、こういう女の子になってたんじゃないかなと思う。

セクシーな派手な格好をして男性の気を惹く、どこか危なっかしい女の子。
ただ、彼女が脱いで裸になったとしても、エロティックというより純真無垢な少女のきまぐれに見える。

ある復讐のために、男性に近づいていくのだが、そのまっすぐなひたむきさが危うく感じる。
天真爛漫だけどどこか哀しげで不安定な役どころはとてもアジャーニに合っている。

日本の結婚式はうそ臭い。避けたほうが良い忌み言葉なんかに非常に神経を使うし、みんな笑顔で「キレイ!」と叫ばなくてはならない。
この映画の好きなところは、結婚式のシーンがとても幸福に満ちているところ。
そしてその幸福が一瞬のものであるところ。幸せとは儚いものだと監督も俳優も分かっているところ。

☆☆☆☆



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Tony Zoreil 2007年

[監督] ヴァランタン・ポワティエ
[出演] ニコラ・クレール、オードレイ・マルネイ

人並み外れた大きな耳を持つ一家に生まれた男性の苦悩が20分間で描かれている。
聴力も半端無いので、マシュマロで耳栓したり、家族の夕食は小声で話しあったり、なんともユニーク。
女性の場合、髪の毛を編みこんで耳を隠すようなお団子ヘアーにしている。なんか可愛い。

☆☆☆

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NAISSANCE DES PIEUVRES 2007年

[監督]  セリーヌ・シアマ
[出演] ポーリーヌ・アキュアール、アデル・ヘネル、ルイーズ・ブラシェール、ワレン・ジャッカン他

人が最期に見るのは 天井だろうね

少なくとも90%の人はそうだ

本当だよ

それに 人が死ぬとき

最後に見たものが目に焼きつくんだ

写真みたいに

大勢の死人の目に 天井が焼きついてる


大抵、邦題を無理やりつけたらひどい有様になり、そのままでイイヤンと思わずにはいられないんだけれども、
今回ばかりはねー原題は「蛸(タコ)の誕生」。よかったよかった、美しいタイトルになって。

確かに女性って子供の頃からなんか絡みつくような既にいっちょまえの女性のようなしぐさや考えを持っていて、あなどれぬ。
自分のことを思い返してみても、純粋な初々しさなんて、当の本人にしてみれば、7歳でなくなっていたよ。厄介な生き物だよね。

但し、大人が客観的に見ると、少女って儚くて美しいんです。

ソフィア・コッポラの「ヴァージン・スーサイズ」よりも、もっと現実に近い。
主に3人の少女が出てくるんだけれど、きっとどのタイプかに当てはまる。
憧れの同級生の捨てたゴミの匂いを嗅いだり、リンゴの食べカスまで食べてしまう女の子。
ウゲって思うけど、私は好きな男性相手にそれに近いことをした覚えがあることを強烈に覚えてる。
公園で、座りながら皆でワイワイアイスを食べてて、彼が立ち去った後、道端にすてていったアイスクリームの棒を持って帰ったなぁ。。。ワハハ。。。

この映画、レズビアンもしくはロリータっていうわけではない。
この映画をみてそう感じる男性がいたら、二度と1m以内には近づきたくないです。
そういう危うい一瞬のあの時代をどの女性も過ごしてきたってことを肝に銘じて置いて下さい。
蛸なんですよ、所詮。

☆☆☆


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Zazie dans le métro 1960年

[監督] ルイ・マル
[出演] カトリーヌ・ドモンジョ、フィリップ・ノワレ、ユベール・デシャン他

クレ、クレ、クレラップ♪の某CMの姉妹に胸キュンしている貴方なら、このザジちゃんの魅力にも一発でやられます!
おかっぱがよく似合うおませなでおてんばな女の子、ザジ。
お母さんと一緒に田舎からパリへ出てきたザジの夢は、地下鉄に乗ること!
しかし運の悪いことに、その日はスト。メトロメトロメトロ!と叫んでる姿がかわいい~。

それからパリにいる二日間、ザジとそのまわりのちょっと変わった大人たちとのドタバタ劇がはじまるのです。ま、大阪の新喜劇のようなノリですな。
チャップリン映画のようにコマ送りされた映像技法や、ストーリがどこへ行くかもよくわからないまま奇想天外なことが起こりまくるこのお話に、目が釘付け。
このザジの魅力に観ている方も振り回されるのです。

きっと監督もどこへいくかなんかよくわからん感じで撮ったのではないでしうか?

くるくると忙しく美しいパリの名所を回る。子供達の目線では、あのパリもこんな風にうつっちゃうんだなぁ。

日本では結構何回も映画館で上映されたりもするし、かなり日本での人気は根強い作品なんだと思います。

☆☆☆☆



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EXILS  2004年

[監督] トニー・ガトリフ
[出演] ロマン・デュリス、ルブナ・アザベル他:

スーフィーダンスをご存知だろうか?
イスラム神秘主義者がトランス状態に入るために、集団で無我の境地になりクルクルと廻り続けるダンスのことです。エジプトに旅行をした人は目にしたかもしれません。ぐるぐるとただ回り続ける旋舞により平衡感覚を失い、脳みそをトランス状態にする。いつでも神に近づく一番の方法がこのスーフィーダンス。このスーフィーダンスがクライマックスに登場します。
ただエジプトの場合は、カラフルなスカートをまわして独楽みたいに一転で回り続けるのですが、この映画に出てくるスーフィーダンスは、もっと自然体。頭をグルングルンと振り回し、まるで何かに獲り付かれたかのような動きをします。
ロマン・デゥリス演じるザノは、「あなたの宗教は?」と聞かれると「音楽だ」と答える。
トランス、フラメンコ、テクノ、アフリカンドラムなど映画の中では多彩な音楽が次々と登場する。
恋人のナイマとともに、お互いのルーツであるアルジェリアを目指して7000キロの旅をするロードムーイーだが、お互いの傷は互いに見せ合わない。あくまで一人で自分と対峙しなくちゃいけないという意志が二人ともに感じられる。
生まれ育った土地でずっと生き続ける道を選んだ人と、そこから飛び出して違う土地で生活する道を選んだ人とでは、この映画の重みの感じ方が違うだろう。
人間はだれでもルーツをいうのがありそこから飛び出したいと思う欲求というのを持っていて、そのくせにそのルーツを辿りたいと思う欲求も同じく持ち合わせているのだ。
この二人は今世紀最高のカップルだと思う。
☆☆☆☆☆

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JE VAIS BIEN, NE T'EN FAIS PAS 2006年

[監督] フィリップ・リオレ
[出演] メラニー・ローレン、カド・メラッド、イザベル・ルノー他:



リリ 自分の世界を抜け出して別の道を歩むんだ

頭の中の悪いことは全て放り投げて、助けなんかなくたって生きていける

知らなきゃいけない事がもっとある

どんな時だって、どこにいたって、君をリードするよ

リリ 僕らのような人間にも、まだ居場所はある

全て人の手には同じ血が流れてる

羽があるからって天使になれる訳じゃない

頭の中の暗いことは全て放り投げて、助けなんかなくたって生きていける

「心配しないで、ぼくは元気だ」と原題は、この映画が見終わったあとに胸に響く。
父親との諍いから双子の兄が行方不明になり、まったく連絡がとれないリリは心を病んでしまう。
精神科の病院に入院させられ、もう身体も心もボロボロになった頃、愛する兄からの手紙が届く。

愛のある映画で、地味ながらも非常に良作です。
ほんのりとした優しさを魅せる技っていうのは、フィリップ・リオレが他の監督よりも秀でている点だと思います。
嘘は嘘でも愛のある嘘は後からさらなる哀しみを引き起こす。
けれども、自分の哀しみでうける辛さより、相手に哀しませないためのやり方で、そこには深い愛情があるんです。

☆☆☆☆☆



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LOISE(TAKE2) 1998年
[監督] シグフリード
[出演] エロディ・ブシェーズ、ロシュディ・ゼム、ジェラルド・トマソン他:


ほら あそこが天国だよ。

―死んだらね。

でもないさ。僕なんて死んでるようなもんさ。

海が好きだ。初めて来たけど大好きさ。

フランス版トレインスポッティングみたいな映画。パリの若者をリアルに描いた作品。
監督は弱冠26歳。ジャズミュージシャンとしても活躍し、今回は監督も撮影も音楽もこなすといった多彩な才能を見せ付けた。
また一年の半分は世界を放浪するといった自由なライフスタイルを送っている。

パリのストリートキッズは自由でありながら、それと引き換えに虚無感、孤独感に囲まれている。
彼らの暮らしを生々しく描き、繊細でフラジイルな若者達の心がとても伝わってくる。

ハンディカメラで撮影したであろう映像は疾走感を生み、斬新なカットがとても現代風である。
この映画を見ていると、自分も本当にパリに居るみたいだ。
後ろに一瞬映る浮浪者も本当に居る人で、パリの地下鉄に行けばどこかで見かける。

フランスの懐の深さを感じたのは、ホームレスの人たちを乗せて走るバス。
一時的な避難場所としてパリの市内を循環しており、誰だって乗って寒さをしのぐことができる。
ホームレスを見下すことなく助けるということは難しいのだが、それを嫌味じゃなくさらりとパリジャンはやってのける。
メトロに乗り込んできて歌を歌ってはお金を貰いにまわる彼らへのまなざしは、温かくも無いが蔑んでもいない。そしてそっとコインを帽子の中に入れてあげる。

そういう空気を現地に行かなくとも肌で感じることができる映画でした。

☆☆☆☆☆

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AVRIL 2006年


[監督] ジェラール・ユスターシュ=マチュー
[出演] ソフィー・カントン、ミュウ=ミュウ、ニコラ・デュヴォシェル、クレマン・シボニー、リショー・ヴァル他:



ここでの孤独と静寂が好きなんです。

全てから守られてる。でもバラだって水を求めるのでは?

赤ん坊の時に修道院に捨てられ、それから一歩も外に出ずに修道院で暮らしていたアヴリル。
生き別れになった双子の兄を探すために、修道女になるための最後の儀式から抜け出し、外の世界に飛び出していく。

こんなに爽やかで清清しい映画はあまりない。
私のぼんやりと頭にあった夢を映像化してくれたこの映画、ピュアな自分がひょっこり湧いてでてきました。

何しろ風景が美しい。南フランスは本来リゾート地なんかじゃなくて、こういった人気の無い海と草原と空に囲まれた土地なんだ。
裸で海に入るシーンがあったけれど、ほんと自然と一体化して神々しかった。
服とか余計なものは取っ払って、大地に寝転ぶ。すると私の中にあって今まで目覚めていなかったものが光を浴びてくる。

お兄さんも、その愛人も、そして好きになった男性も全員が素晴らしく優しくて良い人で、こんな人たちに囲まれてのんびり過ごせたら、夢の世界だな。
青春時代の蒼い部分だけを切り取って映画にしたものが、この作品です。

☆☆☆☆☆

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Mon Ange 2004年

[監督] セルジュ・フリードマン
[出演] ヴァネッサ・パラディ、ヴァンサン・ロティエ他

ベルギーの有名な飾り窓。そこの売春婦役がヴァネッサ・パラディ。
同業者である顔も知らない女性から、孤児院にいる息子を迎えに行って欲しいと頼まれる。
その少年との逃避行を描いたロードムービーです。

主人公は売春という職業をしているけれど、実は純粋で繊細な女性。
見てくれは荒れたアバズレのような格好でも、実は内面は天使のような女性なんだと憧れるのが好きよね、男性は。
そして若い頃は、そんな女性を母のように、または自分が守らなければならない存在だと強く感じるみたい。
しかし、なんとなく分かる気がする。

映画の出来映えは、『橋の上の女』を期待して見たら大間違い。完成度は全然違いますからガックシ。
見所はベルギーの美しい街と田舎風景の自然の色彩。あと、バネッサの眉間のシワ(笑)すごい神経質な性格が表現できてたと思う。
ただ、終始ヴァネッサ・パラディがずっとオセロの松嶋にみえて仕様が無かったです。。。



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Les Jolies choses 2001年


[監督] ジル=パケ・ブランネール
[出演] マリオン・コティヤール、ストーミー・バグジー、パチロック・ブュルエル他


『エディット・ピアフ 愛の讃歌』でオスカー女優に輝いた女性、マリオン・コティヤールが主演。
外見は瓜二つなのに、正確が間逆な双子を、一人で演じている。

ある夜、歌手志望である双子の妹が自殺。
姉は妹として生きることを選び、名前も偽りステージに立つ。

この映画の魅力は、なんといってもこのマリオンの女優力。
どこかストイックな影のある女性を演じるのがとてもうまい。
ストーリ以前に、彼女の演技に釘付けになるのだ。

なんとなく前編に切なさが漂っている感じ。登場人物の心情を全てわかりゃすく表現していないからこそ、見る側が勝手にそこを深読みしてなんだか味わい深い。

VIDEO屋のカテゴリーでは『エロティック』に分類されているが、私はあえて『青春』にする。

☆☆☆☆


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JE M'APPELLE ELISABETH 2006年

[監督] ジャン=ピエール・アメリス
[出演] アルバ=ガイア・クラゲード・ベルージ、ステファヌ・フレイス、ヨランド・モロー、マリア・ド・メデイルシュ、バンジャマン・ラモン他

少女時代には、大人には分からない不安と、想像力と、孤独に押しつぶされそうになっているものだ。
真っ暗闇の廊下におびえたり、勝手に開いたドアの向こうが気になったり、両親の喧嘩が一階から聞こえてくるのに耳を塞いだり、必死に小さな心で戦っている。
そこで、孤独の心を埋めるのが、犬を飼う事だったり、精神病院から逃げ出してきた男性をかくまって世話をすることだったりに繋がるのだ。
少女でも女性は女性。母性本能を発揮して、弾性をかいがいしく世話をする姿がとても可愛らしい!
そしてフランス風の赤いコートがこれまた可愛いの!!
自分が必要である存在が感じられたら、人は手首を切ることもないだろう。
ベティも手首を切ったけど、男性とお揃いである行為がしたかっただけであって、
もうこれは少女といえども一人前の女心ですね。

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MA VIE EN ROSE  1997年

[監督] アラン・ベルリネール
[出演] ジョルジュ・デュ・フレネ、ジャン=フィリップ・エコフェ、ミシェール・ラロック他

男の子なのに女の子になりたいリュド。
お化粧したり、ドレスを着たり、人形で遊ぶのが大好き。

神様はXとYのカードを持っていて、天空から投げて配るんだけれども、
何かの手違いで僕のカードからYが落ちちゃったんだ。

だから本当は女の子なんだよって。僕の夢は女の子になって、好きな男の子と結婚すること。
しかしそんな考えは周りの人たちには奇妙に映る。特に大人たちは嫌悪感を示すばかり。

自分にとっての当たり前が他人にとっての当たり前じゃない時もある。
なんとか理解をしようと努めても、もし自分の息子がこんなこと言い出したら、やっぱり戸惑うと思います。

別に他人の目がどうのこうのとかいうわけではなく、息子には辛いことのあまり無い人生を歩んで欲しいと思うから。
でも、本人にとっては、違う考えで自分をだましながら生きていくことのほうが辛いんだということを、途中から理解していくんでしょうね。

しかし、この主人公、なんてカワイラシイの!!!
私の大好きなマッシュルームカットで、可愛すぎで悶えます(笑)

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GIRLS 1979年

[監督] ジュスト・ジャカン
[出演] アンヌ・パリロー、イザベル・メジア、シャルロット・ワリオ、ゾエ・ショヴォー他



愛があれば寝てもいいの?
1979年の少女達の青春物語映画。仲良し女の子4人組は、夜な夜なクラブで遊んだり、ドライブにでかけたり、
いつでもどこでも一緒。
そして男の子たちとの恋愛に一喜一憂する年頃。
時代は違えども、女性達は昔を思い出せば、皆似たり寄ったりの思い出を持っているはず。

しかし、少女達はしだいと女性に変わっていく。
美しい時代との別れは、淋しくもある。
しかし、芯のある本当の女性になったとき、
いつも見ていた景色でも、その瞳に映る景色は変わってくるのだ。

監督は、官能映画『エマニエル夫人』『O嬢の物語』などのジュスト・ジャカン。
しかし、この映画は、いやらしさのかけらもなく、キュートでポップ!
まあ十代の少女の裸は写るけどね。
そしてあどけない少女が妊娠中絶しちゃうけどね。

この時代のティーンの自由さをカラフルに描いている良質映画。
フランスのオシャレな映画が好きな人にはおススメです。



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NENETTE TE BONI 1996年

[監督] クレール・ドニ
[出演] グレゴワール・コラン、アリス・ウーリ、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ヴィンセント・ギャロ他



これ 嗅いで

どう思う?

―さあ

肌の匂いよ

ある記事を読んでから、香水はつけないの


主人公の、パン屋の奥さんに抱く、性的妄想の描写はすばらしいと思った。
独り言をつぶやいているのも怪しいけれど、
ピザ生地をこねくり回して、キスをするシーンには、
少年だから許される気持ち悪さと純粋さとのキワキワ部分が描写されていました。

が、その他は、
ウーム…

ギャロが出てるのだって、
監督がただギャロファンだとしか思えない!

すごく監督の意思とかスタンスを詰め込んだ作品で、
編集もスタイリッシュに削ぎ落としている。

しかし、なんだか昔の青春文学史の小説を、書棚の奥から取り出してきて、
読見終わった後のような疲労感と同じようなものが、
この映画にはありました。

だから、なんだか埃っぽく、かび臭く、
古い映画のように感じるんです。
1996年作なのに、もっと前のような。

パン屋の奥さん役のヴァレリア・ブルーニ=テデスキだけは、言うことなし!!




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MAUVAIS SANG 1986年


[監督] レオス・カラックス

[出演] ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ、ジュリー・デルピー



いつの日か、別の日か

フレシネに衝撃を受けた第一作品。

何年たっても心のベスト1位は変わらない。

いくら青臭いといわれても、この場所は譲らないわ。


重い鉛が腹に詰まってるんだ。

キミだけがそれに触れる。そして放つ。

お願いだから。


誰もが若い頃は一度は経験しただろうこんな恋。

あきらかに私はビノシュじゃなく、ジュリー・デルピー。

二人乗りのバイク、そのミラーで私を見てくれないのなら、手を離して落ちるわ。


監督レオス・カラックスはこのころビノシュの恋人。とても愛情がこもったカメラワーク。

一瞬ストーカーとして本人が登場してます。


愛のないセックスをした人がかかってしまう難病、

そんな世の中、キミは誰とセックスできる?




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